コートを羽織った錦帯橋 - 吉香公園・岩国城とともに

錦帯橋
広島・山口両県にまたがる年末の温泉旅が最終日を迎えた。帰路は岩国空港から羽田へ飛ぶ。となれば最終日は岩国観光、とくれば錦帯橋を見学するしかないでしょう。こういう形の橋ね→∩∩∩∩∩。

調べてみると、錦帯橋の一帯は岩国城や吉香公園が整備され、観光要素が盛りだくさんだった。そこで時間を多めにとって余裕あるスケジュールで臨んだ。

しかしどういうわけか、いつものごとく駆け足のスピード見学を余儀なくされてしまったのである。しかも、そもそもの部分で根本的な誤算があった---。

岩国錦帯橋へのアクセス

予想外の大渋滞

朝。周南市の湯野温泉「芳山園」をチェックアウトしたおじさんは、バスで山陽線・戸田駅へ出て、岩国行きの列車に乗り込んだ。結構混んでいる。徳山・下松のあたりまでは座れないくらい。

そうして前日に上関へ行くために下車した柳井を過ぎ、戸田から80分あまりで岩国駅に到着。ここから錦帯橋まで路線バスで15分だ。

だがなんてこったい。道路が大渋滞。車が全然動かねー。なんで? なんで? 年末の民族大移動? いくらなんでも進まなさすぎる。交通インフラっていうレベルじゃねーぞ。よほど降りて歩いてやろうかと思ったくらい。

そしていつものスピード見学へ

どうやら事故渋滞だったようだ。15分で着くはずのところを40分近く、と文字にすると大げさに書き立てることじゃないように見えるが、当時は焦りに焦った。

もうトラウマですよ。帰路もあんな渋滞に巻き込まれたらと思うと、飛行機に遅れるわけにはいかないから早め早めに動かないといけないし、4時間確保してあった錦帯橋滞在だったが3時間に前倒しする意気込みで行動しなければいけないな。

なんて決心したそばから近くのバスセンターで昼食休憩しちゃって、3時間枠で考えると残り2時間半。最後に温泉に立ち寄るつもりなので、そこに1時間みておくと観光に使えるのは正味1時間半。錦帯橋~吉香公園~岩国城をめぐる所要時間は一般に1.5~2時間だそうだから、もう全然余裕がない。

あーあ、また今回も駆け足のダイジェスト版スピード見学か。


錦帯橋と岩国城

根本的な誤算。橋が…

さらに大きな誤算があった。冒頭写真の通り、錦帯橋がシートを被ってる!!…あらー、風情が半減だ。工事のためにやむを得ない措置とはいえ、なんとも残念。

宮島・厳島神社の大鳥居が工事中で足場とシートに覆われているのは知っていた。だから今回の旅行では広島を通りながらあえて宮島観光を避けた。そこまで用心しておいて錦帯橋についてはすっかり油断してたんだから、とんだ大ボケ野郎だ。

※本記事公開時点で工事は完了ずみ。シートは取り外された。

気を取り直して、バスセンターで橋の通行+ロープウェイ往復+岩国城見学のセット券970円を購入し、錦帯橋を渡り始めた。たしかにラクダのコブの上を歩いているような感覚だ。
錦帯橋を渡る
両脇のシートに遮られてしまい、橋の上から錦川の様子はよく見えない。チラチラ見えた範囲だと河原が駐車場になっていて露店がいくつか出ていた。当時はそれほど車は止まっていなかったが、桜や紅葉のシーズンには車でいっぱいになるのかもしれない。

岩国城への2つのルート

はい、錦帯橋を渡り終えました。その先は吉香公園になっている。とても広い、きれいに整備された公園である。ここは後で残り時間と相談しつつ見ることにして、さっさと通過。山の上の岩国城への往復を優先する。
吉香公園
山の上へ行くロープウェイは15分間隔で運行されていた。乗り場に行列はできてなかったし、5分待ちくらいで乗れたので助かった。
岩国城ロープウェイ
山頂駅から岩国城までは2つのルートがある。平坦な舗装道ルートと未舗装の山道ルートだ。こういうときは険しい方が近道なんだよな、と即断で山道ルートへ。結構アップダウンがあるし狭いところでのすれ違いもある。

そこをスピード見学モードの勢いで走破したもんだから、疲れた…。息を切らしながら岩国城とご対面。今度はあの最上層まで登るのか…。
岩国城

素晴らしき絶景に心が洗われる

城の内部は刀展示館かと思うくらいに刀や槍の展示が多かった。このジャンルには疎いので刀の価値や岩国との関連はよくわからない。スピードモードだから説明を読んでる時間もない。こんなんでいいのだろうか…。
岩国城内の刀展示
とにかく最大目標の最上層へ着いた。おおすごい。期待した通りのすばらしい眺望が開けており、来た甲斐があったと思わせるものだった。
岩国城からの絶景
川底まで透き通って見えるかのように錯覚しそうな清流・錦川と、蛇行する美しいカーブ、その上で弧を描く錦帯橋、その先に広がる岩国の町並み、さらには瀬戸内の海と島々、もしかしたら四国まで見えてたりして。

肉眼だと「あの辺が岩国空港かな?」というのもわかった。こんな景色を見ちゃうと、下界の渋滞でハラハラ・イライラしてたのがアホらしくなるね。広い心で、ゆったり構えていこう…でもやっぱり先を急ごう。


吉香公園

吉川家にちなんだ史料館と神社

すっかり満足して、帰りは平坦道経由で山頂駅へ戻り、ロープウェイで麓の吉香公園まで下りてきた。見学設定時間は残りあと40分。セット券には岩国美術館・吉川史料館の入場券も付いているんだけど、もう見てる時間がない。パス。

時間をかけずにできそうなこととして近くの神社見学を。まず白山比め神社。“め”は口へんに羊(機種依存文字らしい)。他の観光客の姿はなかった。
白山比め神社
細かい説明は割愛します。さあ次。岩国藩主・吉川家の先祖を祀る吉香神社。国の重要文化財だって。こちらは観光客がちらほら。ちょっとしたお店もある。
吉香神社

なんだか気になるシロヘビの館

残りあと30分。余裕しゃくしゃくで橋の方へ戻ってもいいんだけど、気になる施設を見つけてしまった。「岩国シロヘビの館」…だと…?  吸い寄せられるように入館。
岩国シロヘビの館
入館料は200円のところ、セット券を提示すると160円になる。中は広くなく、昔話のアニメを流す映像コーナーや、白蛇の生態をゲーム感覚で学べるコーナーなどがある。

白蛇はようするにアオダイショウのアルビノですな。岩国には特に多く生息しているのだという。当館内でも飼育されており、実際に鑑賞することができる。ヘイ、レッド…じゃなかった、ホワイトスネークカモン。
白蛇
背中は若干のイエロースネークカモン。野生の環境でこの色は目立っちゃって生存競争において淘汰されやすい気もするんだけど、白っぽい岩場や砂地の中ならかえって有利なのかな。なんとなく。

ラストは錦川のほとりで

白蛇も見たし、もう思い残すことはない。吉香公園に別れを告げて錦帯橋まで戻ってきた。川のそばへ近づいて、橋を下から見上げるアングルで記念に1枚。
錦帯橋
残りあと15分。最後に錦川を撮っておくか。川を泳ぐ鴨がいたけど、本当の錦帯橋名物は夏の鵜飼だ。きっとものすごく混雑するんでしょうな。自分には縁がなさそう。
錦川
川の向こうに見える大きな建物は、この後に立ち寄り入浴で訪れるつもりの岩国国際観光ホテル。今まさに高層階の露天風呂からこちらを見下ろしてる人がいるに違いない。もうすぐ行ったるで。

予想以上に広大な一帯

こうして橋を渡ってバスセンターへ戻り、ひと通りの見学を完了した。肝心の錦帯橋がシートに覆われていたのは想定外だったが、まあまあ満足。

吉香公園と岩国城を含めると、見るべき範囲がかなり広いと実感した。スピード見学モードでも1時間半近くを要したからね。各所をじっくり見つつ、露店や茶屋でまったりしつつ、公園を散策しつつ、岩国美術館や吉川史料館まで手を広げたら何時間かかることやら。

ひとつだけ言えるのは、橋を渡って橋の写真を撮れば一応「錦帯橋へ行った」ことにはなるけど、それだけじゃもったいないよ、ということは確かだと思う。


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