天橋立・伊根湾:いろんなアングルで眺める絶景と舟屋

天橋立
令和最初の旅行は中盤以降がもう温泉と絡まなくなるし、さる野暮用がメインになってくるからブログの趣旨的には割愛してもいいのだが、これだけは書き残したい。中盤に行われた天橋立・伊根湾観光の件だ。

序盤が伊勢で中盤が丹後地方。まったくなんの脈絡もないけど、これでいいのだ。先のゴールデンウィークの間に人々はパワーを使い果たしたか、訪れたときは全然混雑していなくて非常にスムーズで良かった。

それになんといっても天候に恵まれた。かなりいい条件で景色を楽しむことができたんじゃないかと思う。令和の好スタートだ。

第1章:天橋立ビューランド

高速道路で便利になった天橋立

旅の2日目。朝早くに三重県の猪の倉温泉・ふよう荘をチェックアウトして榊原温泉口駅から近鉄特急に乗った。1時間50分後に京都駅へ到着。東京から京都までの新幹線の乗車時間より短いとはいえ初っ端からなかなかの長旅感である。

京都駅前で同行メンバーの一部と合流してレンタカーに乗り込んだ。ここからは車旅。京都縦貫道を使うと丹後が身近な距離に感じられてすごく便利ですね。宮津天橋立ICを下りて京都丹後鉄道・宮津駅まで行き、残りのメンバーを拾った。

宮津駅から天橋立駅付近へ移動すると、うまい具合に空いてる駐車場を見つけたのでさくっと入った。600円。このあたりの駐車場は値付けに結構差があるけど、場所が良くて安いにこだわりすぎると難民化して貴重な時間を食ってしまう。適当なところで割り切るのが吉。

砂州内にある「はしだて茶屋」で昼食

車を降りてまず天橋立の付け根のところにある智恩寺文殊堂を通過。日本三文殊の一つだそうだ。
智恩寺文殊堂
続いて付け根から砂州への橋を渡る。ここで砂州が切れているためかろうじて内海と外海がつながっている。この橋は大天橋といって、観光名所として知られるのは陸地寄りにある赤い欄干の小天橋(廻旋橋)の方だったようだ。しまった。
さて、もう昼時だ。はしだて茶屋という食事処に入ってみた。砂州内は建造物がないものだと思い込んでいたから、お店が営業していると知ってちょっと意外だった。
はしだて茶屋
黒ちくわ・あさり丼といったあたりが名物のようだ。自分が注文したのはあさりうどん。あさりのダシが効いた汁がたまりませんな。

時間の都合で天橋立内部の見学はここまで。端から端までは3.6kmもあるからまともに歩いて往復したら2時間近くかかってしまう(一応レンタサイクルはある)。仕方ないですね。せめて白砂青松っぽい風景を撮影。
天橋立の砂浜

天橋立ビューランドからの股のぞき

かわりに一般的な天橋立のイメージ通りの景色を見に行こう。そのまま歩いて天橋立ビューランドへ向かった。現地は小山になっており、モノレール(斜行エレベーターに近い)またはリフトで頂上まで行ける。我々はリフトを利用。

頂上駅に直結して展望エリアが広がっており、さっそく天橋立の全景をカメラに収めた。うわすげー、こんな地形はそうそうない、こりゃたしかに日本三景になるわ。
天橋立ビューランド展望台からの景色
実を言うと天橋立は過去に二度訪れたことがある。でも当時の記憶とか印象は薄れていたし、いま目の前に映るほどの晴天に恵まれたクリアな姿だったかどうか。三度目にして初見であるかのような驚きと感動を得られたのは幸いだった。

人が多くないので「股のぞき台」に誰もいない瞬間が頻繁に訪れる。
股のぞき台
有名な股のぞきってやつを自分もやってみた。海と空がひっくり返って不思議な感覚におそわれる。S字カーブの砂州を龍に、海を空に見立てて「飛龍観」と呼ぶそうだが、そう言われれば龍が天を駆ける姿に見えてくる。へー。

飛龍観回廊と下りのリフトも絶景スポット

じゃあもっと高い位置から見たらどうだろう。そんな希望を叶えてくれるのが「飛龍観回廊」。螺旋階段を上っていく展望通路だ。
飛龍観回廊
まあ景色がガラッと変わるわけじゃなく、高さなりの俯瞰状態で見えるってことですな。ビューランドには他に遊園地や「かわらけ投げ」もある。我々は景色を見に来ただけだが、ここの施設を遊び尽くそうとしたらそれなりに長い時間を過ごせるだろう。

下りに使ったリフトがダークホースの絶景スポットだった。視界に天橋立を収めたまま下っていくことになるからだ。飛龍が徐々に距離感を詰めてくる様を楽しみながら麓まで戻るわけ。スマホを落っことすのが怖くて撮影はできず。

天橋立まで来たらベタかもしれないけどビューランドは外せませんね。満足感は高い。スカッと晴れた行楽日和のわりに人が多くなかったという奇跡的な好条件のおかげもあっただろう。


第2章:伊根湾めぐり遊覧船

寅さんも訪れた伊根の舟屋地区

再び車に乗り込んだ我ら一行は次に伊根町を目指した。ここは自分が推奨して見学先に加えてもらったスポットである。伊根の舟屋地区といえば1階が車ならぬ船のガレージになっている家屋が立ち並ぶ独特の景観で知られ、釣りバカ日誌やNHK朝ドラ「ええにょぼ」のロケ地にもなった。

自分にとっては寅さんの印象が強い。「男はつらいよ あじさいの恋」(第29作)でマドンナの住んでる家があった場所なのでね。失意のうちに故郷へ戻ったマドンナの様子をうかがいに来た寅さんは、行きががりでマドンナの家に一晩泊めてもらい、船に乗って帰ったのだった。当時は定期航路があったのかね。

まあいい。とにかくビューランドから30分ほどで着いたのが道の駅「舟屋の里 伊根」。丘の中腹にあって展望台から一望できる伊根湾がナイス。
「舟屋の里 伊根」から見る伊根湾
駐車場は需要に対して小さいのか、すぐに埋まりやすい。我々は幸い一発で止めることができたものの、ちょっとタイミングが違っていたら空きを求めて難民化していたかもしれない。要注意だ。

便利な第1駐車場か、安全策の第2・第3か

同様に伊根湾めぐり遊覧船の駐車場も注意を要する。乗船場に隣接する便利な第1駐車場は埋まりやすいうえ、満車のためやむなく通過すると集落内の狭い道が続いてUターンする機会がなかなか見つからない。ずいぶん先まで走らされる。

第1より手前の第2・第3駐車場なら乗船場まで数分歩くが空いてる可能性は比較的高い。イチかバチかの第1狙いを避けて安全策でいきたい方にはおすすめ。

我々は第1狙いの失敗を経て第2駐車場に止めた。乗船場へ行くとまもなく遊覧船が帰港してきた。船はやけにたくさんのカモメに取り囲まれている。売店で売っているえさ(スナック菓子)を乗客がばらまいてくれるのをあてにしているのだ。
伊根湾めぐり遊覧船

カモメとトンビに付き添われて

やがて次の便の出発時刻となり、我々を乗せた船が動き出した。陣取った場所はもちろん屋上デッキ。

たくさんのカモメがどこまでもついてくる。乗客が喜んでえさをばらまいているからだが。カモメだけでなくたくさんのトンビまで近づいてきたのには驚いた。すぐ目の前をバッサバッサと横切っていく何羽もの猛禽類。やべー。
伊根湾
いかん、トンビが気になって伊根湾めぐりだか鳥観察ツアーだかわからなくなってきた…トンビをのぞく時、トンビもまたこちらをのぞいているのだ(ニーチェ)。
遊覧船から見る舟屋地区
まあでも爽やかな風を受けながら物珍しい舟屋の並びを見ることはできたし、満足度は高い。ちなみに下の写真の丘の中腹に見えるのが先述の道の駅である。
舟屋と道の駅
伊根湾めぐり遊覧船もGW中だったらどうせ激混みで、長い行列待ちの後にやっと乗れてもギュウギュウ詰めで大変だったかもしれないからなあ、本当にちょうどいい時に来たもんだ。


第3章:傘松公園

股のぞきで見る昇り龍

我々は再び天橋立へと戻り、ビューランドと反対側の付け根にある展望所・傘松公園にやって来た。こちらも小山の頂上エリアが展望スポットになっている。運行されているのはケーブルカーとリフト。われわれはケーブルカーを選択。
傘松公園ケーブルカー
夕方近くなってやや霞みがかかってきたものの十分すぎる景観だ。
傘松公園展望台からの景色
S字カーブの印象が薄まって直線的な伸びが目立つ砂州。龍が空に昇る勢いに見立てて昇龍観と呼ぶ。昇竜拳じゃないよ。傘松公園もこの日の混雑は大したことなく、マイペースで心ゆくまで見学することができた。股のぞき台もこの通り無人。
股のぞき台

冠島・沓島は残念ながら見えず

ところで傘松公園のマスコットキャラは「かさぼう」。股のぞき台の近くで愛嬌を振りまいている。
かさぼう
ビューランドの方にいた「あまぼっくり」と同じじゃねーか、と当時は思ったけど、後で調べたら全然別物だった。すいません、各々独自のキャラでした。

頂上エリアには冠島沓島遥拝所もあった。神の宿る島とされる冠島と沓島を拝む場所なのだが、遠くは霞んでいて島影は見えず。
冠島沓島遥拝所
以上で傘松公園を終了。飛龍とはまた別の味わいがある昇龍であった。

最高の見学条件に恵まれた

最後に大内峠一字観公園に立ち寄ったんだけど詳細は割愛します。駐車した車の中にスマホを置いてきてしまったため写真は撮れず。

公園までが狭隘な坂道で運転が大変そうだったのと、公園にはコテージやキャンプ場が整備されていたこと、天橋立を真横(?)から見下ろすためまっすぐな一文字に見える、とだけ言っておこう。

天橋立には雪舟観と呼ばれる展望所もあって当初の計画には入っていたものの、時間に余裕がなくなって取りやめとなった。我々が見たのは四大観のうちの3つ…飛竜観・昇龍観・一字観ということになる。

四大観コンプにそれほどこだわりはなかったので十分満足である。しつこいようだが天候と混み具合の条件が最高に良かったからね。伊根湾についても同様。うまくいきすぎて怖いくらいだった。と得意顔にて総括。


【この旅行に関する他の記事】