甘木駅前のかけ流し温泉宿 - ホテルグランスパアベニュー

ホテルグランスパアベニュー
4月。ゴールデンウィークの前に1日分の休暇のチャンスが転がり込んできたので、平成最後の温泉一人旅のためにありがたく行使することにした。

狙いはかねてよりの懸案だった西日本の温泉。急に思い立ってからでも比較的お得な航空券が取れそうな福岡空港へ飛ぶことにし、休暇+週末の2泊3日で福岡県と佐賀県をクリアしようという目論見だ。

そんな旅の1湯目は福岡県朝倉市の「ホテルグランスパアベニュー」への立ち寄り入浴。PH10.0の強アルカリ泉を源泉かけ流し、しかも自分好みのぬるめだというから、期待して行ってみた。

ホテルグランスパアベニューへのアクセス

甘木鉄道に乗って

グランスパアベニューの最寄り駅は甘木鉄道/西鉄甘木線の終着駅・甘木。福岡空港や博多からだとJRで基山まで行くか、または西鉄で小郡まで行って、どちらも甘木鉄道に乗り換えて終点まで乗るってことになると思う。甘鉄の運行本数は多くないから事前に接続をきっちり調査しておかねばならない。

自分は福岡に着いてまず大宰府天満宮をお詣りした後、西鉄で太宰府→二日市→小郡へ。西鉄と甘鉄の小郡駅は直結してなくて徒歩数分ほど離れている。

そして甘鉄小郡駅は、ホームへ上る階段の途中で「↑甘木方面|→基山方面」と通路が二手に分かれるのだが、結局は同じホームに出る。なんじゃそりゃと思ったら、走っているのが1両編成の“レールバス”(後乗り・前降り)のため、後乗りのドアの近くへ誘導してくれているのだった。

九州八十八湯めぐりのひとつ

それはそうと、甘木駅を出たら当ホテルはすぐ目の前。徒歩1分あるかないか。こんな立地で温泉が出るなんてね。ちなみに徒歩10分ほどのところには県内屈指と評する声も聞かれる日帰り施設「卑弥呼ロマンの湯」があるけど、運営面でゴタゴタがあったみたいで、当時は一時休業中だった。

その卑弥呼ロマンの湯とともに当ホテルが「九州八十八湯めぐり」なる温泉ファン向け企画の指定施設に選ばれている。ならばクオリティに間違いはあるまい、期待しましょう。


甘木の駅前でのんびり湯浴みを楽しむ

ホテルの3階にある大浴場「幸楽の湯」

道路に面した目立つ入口はお食事処。ホテルの入口は奥側にある。
グランスパアベニュー1階の食事処
入ると2基のエレベータだけがあり、それで3階まで行く(階数の表記は‘L’)とフロントがある。
グランスパアベニューのエレベータホール
グランスパアベニューの大浴場「幸楽の湯」はフロントと同じ3階にある。自販機で800円の券を買い入場。もちろんホテルの宿泊客は無料で入れます。下足箱の隣にあとで100円返ってくるタイプの大きめロッカーあり。

脱衣所にも鍵付きロッカーが並んでおり、こちらはコイン不要。壁に掲示された分析書には「アルカリ性単純硫黄泉、低張性、アルカリ性、低温泉」とあった。冷水サーバーが置いてあったが飲泉の類ではなく普通の飲用水だと思う。

硫黄が香る良好な低温風呂

温泉らしい匂いが立ち込める浴室はホテルの規模に見合ったもので洗い場は8名分。サウナ室の他、3つの内湯浴槽が並んでいた。一番手前は1~2名サイズの水風呂。加温してない源泉じゃなくて水風呂なんだと思うけど、ちょっとよくわからない。

その隣が10名くらいいける低温風呂。浸かってみると、ややぬるめの適温といったところ。40℃くらいだろうか。無色透明のお湯はかすかにタマゴ系の硫黄香が感じられ、白くて微細な湯の花もいくらか見られる。

またPH値が高いだけあってアルカリ特有のヌルヌル感もしっかりあった。肌にまとわりつくようなニュルニュルというほどではないが一定の水準にはある。

自分の好み的には低温風呂にずっと浸かるのがベスト。他の客は2~4名程度、しかも各所に分散するから低温風呂が独占状態になることも多かった。時おり硫黄の匂いを確認しつつゆっくり浸かる。こりゃあいいや。

町を見下ろす高温風呂

一応の体験として隣の高温風呂にも入ってみた。こちらは6名サイズで、うん、たしかにあつ湯だ。ちょっと好みのレンジ外かな。だがしばらくすると腕などに細かい泡付きが見られるようになった。低温風呂では見なかったけどなー。高温風呂は窓際にあるから、入ってくる光の加減で微細な泡が目立ちやすくなっているのだろうか。

窓の外には甘鉄甘木駅をはじめとする町の風景が広がっている。癒やされる自然とか絶景とかではないけど外を見ながら入浴したければ高温風呂だ。

さて再び低温風呂へ戻り、ラスト10分間を冷温交互浴の気持ちよさで締めることにした。それにはいったん水風呂に全身浸からないといけないのだが、この日の気力・体調だと冷たさに耐えられず、腰下までが精一杯。

まあいい、良しとしよう。それから低温風呂へ入り直すと…おお、腰から下だけが締まりと弛緩の交錯する不思議な感覚に包まれた。こりゃたまらん。残念ながら何セットも繰り返す余裕はなく最初の1セットでタイムアップ。約1時間の滞在でグランスパアベニューを後にした。

女性には専用露天風呂もあり

なお補足として、幸楽の湯は朝6時半から夜23時までというロングランで営業しているが、10時から13時まではメンテナンス休止時間となる。正午などにふらっと来ても入れないからご注意。

また調べによると、ホテルの4階には女性専用露天風呂があり、朝10時から夜22時まで休止なしでやってるみたい。うらやましいぞ。


おまけ:太宰府天満宮を目指す旅人

ものすごい人出の太宰府天満宮

福岡空港に着いてから甘木を目指す前に太宰府天満宮へ行ってみた。ちょっとは観光的なこともいたしたく候。

空港と太宰府を25分で結ぶ直行バス「旅人(たびと)」が出ているものの、それに乗るには国内線ターミナルから国際線ターミナルまで移動しなければならない。しかもその移動は空港内連絡バス(無料)で10分という距離。これじゃあ博多経由の鉄道ルートとどっこいどっこいじゃないか?

しかし日頃の行いが良かったのか、菅原道真公のお導きか、ほぼ待ち時間なしの絶妙すぎるタイミングで連絡バスと旅人を乗り継いで、超スムーズに西鉄太宰府駅前まで来た。
西鉄太宰府駅前
とはいえ与えられた滞在可能時間は30分。まずはわき目もふらず本殿を目指して10分で到着。ものすごい人出にしては待たされるほどの行列もなく二礼二拍手一礼できたのは幸いだった。
太宰府天満宮 本殿

名物・梅ヶ枝餅を食べてみた

はい拝観終了。太宰府駅へ戻ろう。有名な楼門は帰路でしっかり見させてもらった。他に超ぶっとい大樟、心字池と赤い太鼓橋、御神牛の像など。
太宰府天満宮 楼門
駅から天満宮入口までの5分ほどの参道には各種お店が軒を連ね、名物・梅ヶ枝餅を売ってるところも多い。そのうちの一軒、中村屋さんで1個120円を買い求めると、焼き立てが梅茶と一緒に出てきた。

梅ヶ枝餅の皮は初めがもなかのような食感で噛むうちに餅っぽくなる。そして歯にくっつく。中身は粒あん。結構熱いからすぐには食べ切れない。甘すぎず梅茶によく合うのがいい。

結果的に梅ヶ枝餅がこの日の昼食となった。そういえば朝食は成田空港の売店で買ったあんぱんだったわ…けっきょく粒あんばっかりじゃねーか。軽いショックを受けつつ駅のホームへ行ったら、待っていた車両が太宰府観光列車「旅人」だった。
西鉄 太宰府観光列車 旅人
こうして旅人は旅人に乗って甘木へ向かったのである。


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