2つのアルプスを眺めながら - 羽広温泉 みはらしの湯(伊那)

みはらしの湯
今春グループ旅行で企画した、有名な高遠の桜を見に行くツアー。時期が早すぎて主たる目的は失敗したのだが、ともかくその晩は伊那市内のホテルに泊まった。

だが転んでもただでは起きない。温泉についても抜かりなく計画してあった。ホテルのそばにある羽広温泉「みはらしの湯」なる施設へ行ってみたのだ。以下はそのレポートである。

みはらしの湯へのアクセス

羽広温泉「みはらしの湯」は伊那市の西側・中央アルプス寄りにある。西箕輪地区といったらよいのだろうか。はびろ農業公園「みはらしファーム」の敷地内に立っている。

車なら高速の伊那ICから5分ちょっとだから便利だ。JR飯田線の伊那市駅からバス利用の場合、駅の近く(伊那営業所)からみはらしファームを通る便が出ているけど、本数が少ないからよほどうまく見計らう必要がある。駅からタクシーだと15分で2500円+αくらい。

我々は高遠のお花見に失敗した後、西箕輪へ移動し、ホテルのチェックインをすませてから17時頃に行った。ホテルからみはらしの湯までの5分ほどの道のりは、日が落ちてきたせいか風が冷たくて、やはり東京とは気候が違う感じ。


名前通りに見晴らしが自慢の温泉

新しめの施設

みはらしの湯の建物は比較的新しく、近年各地に見られる日帰り温泉施設の趣き。中の自販機で入場券を買って受け付けをすませた。1人500円。タオルは別料金だった。

大浴場は2階にある。山の湯と川の湯に分かれていたはずだけど、どっちが男湯/女湯だったか忘れた。脱衣所の分析書には「単純温泉、低張性、弱アルカリ」とあった。加温・循環・塩素ありの基本加水なし。

微濁り・ぬるぬるのお湯

浴室はそこそこの広さで、洗い場はたくさん。地元ユーザーを中心に10数名がいたとみるが、ごみごみしてはいない。内湯には低温槽、加温槽、打たせ湯、寝湯、サウナがあった。

時間的な都合と、まあいいやとの割り切りもあって、低温槽と加温槽だけ試した。低温の方は加水していると思われるものの、いい具合のぬるさ加減で、ずっとここにいたい感じ。

しかし親子連れなどが一時的に集中して人口密度が高まったため加温の方へ移動した。多くの人にとってはこちらが適温だろう。お湯は無色透明に近い微濁りでややぬるぬるする。あからさまな塩素臭はしなかった。

南アルプスを望む露天風呂

続いて外のエリアへ出て露天風呂に入った。ここが「みはらし」の真骨頂。タモリが喜びそうな河岸段丘の高台から天竜川を挟んだはるか東方、つまり南アルプスの峰々を望むことができるのだ。

目隠しの柵があるため、湯につかりながら見られるわけではない。少し立ち上がる必要はある。それでも案内板にしたがって目を凝らせば東駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・間ノ岳の姿を拝むことができる。これはいいね。

中央アルプスも見える?

では西方の中央アルプスはどうか。こちらも抜かりはない。内湯の壁に描いてある。町の銭湯によくある富士山の絵のスケールを大きくしたやつだ。木曽駒ヶ岳や宝剣岳を(絵で)拝むことができる。

こうして日本アルプスの山々に囲まれた気分で入る、微濁り・微ぬるぬるのお湯…歴史と伝統の本格温泉並みを求めるのは酷だが、お手軽な日帰り施設としてはまあなかなか良いのではないだろうか。

みはらしの湯の目の前には羽広荘という宿泊施設もある。同じ事業者による運営と思われ、おそらく羽広荘宿泊者は無料でみはらしの湯に入れるものと推察される。


高原のプチホテル風「信州愛和の森ホテル」

ダチョウ牧場がある

一行の宿泊先「信州愛和の森ホテル」についても少し触れておく。みはらしファームの敷地内といってもよいような場所にある。利用したのはホテル式の本館。他に犬と泊まれるログハウスもある。
愛和の森ホテル
玄関入り口の向かいにダチョウが放牧(?)されていた。ファミリー客のお子様はたいそう喜ぶんじゃないかな。
愛和の森ホテル前のダチョウ

地元食材のコース料理

夕食は地元食材を使った洋食コース。生ハムサラダから始まって、ポテトスープ、にじますハーブ、さつまいも茎、信州牛の赤ワイン煮、ライス。手が込んでいるというよりは素材を生かした自然な味わいで好感。

一部のメンバーはお手軽定食コース。サラダ、唐揚げ、なずな、揚げ出し豆腐、さつまいも茎、ライス。地味っちゃ地味だが唐揚げはたっぷりあったし、米はうまいし、不足はなかろう。

朝食は鮭(信州サーモン?)の和定食。セルフでコーヒーが付く。

洒落たシングルルーム

部屋割りの関係で自分だけシングルルームになった。そこそこゆとりのある洒落た作りである。南アルプスの見える窓がよい。禁煙部屋ではないがタバコ臭くはなかった。インターネット環境はあったはず。しかし記憶によればフロントに申し出て云々だった気がする。
愛和の森ホテルのシングルルーム
あと「季節柄カメムシやテントウムシがどうしても部屋に入ることがあり、申し訳ございません」の書き置きとガムテープが置いてあった。山の方だからしょうがないよね(この日はいなかった)。

部屋の中にはユニットバスがあるし、ログハウスが建つ区画に数名規模の離れの浴場があって貸し切りにもできる。我々は利用しなかったが、朝早くにはタオルを手にいそいそと向かう人影が確認できた。お好みでどうぞ。