世界遺産の里で雪見風呂 - 国民宿舎 五箇山荘

五箇山荘の入り口
世界遺産の合掌造り集落で知られる富山県・五箇山。風光明媚な山あいの里に湧く五箇山温泉を有する国民宿舎「五箇山荘」にグループで1泊した。早春の時期である。お湯自体にこれといった特徴はないものの、秘境ムードを醸しつつも古びたところのない和モダンな宿は、なかなか快適だった。

なお観光地名は五箇山<ごかやま>だが宿舎名は五箇山荘<ごかさんそう>。混同しないように注意しよう。

五箇山荘への坂道チャレンジ

公共交通機関だと高岡駅か北陸新幹線の新高岡駅から世界遺産バスで70~80分、重要文化財「村上家」の目の前にあたる上梨停留所で下車する。バス停から橋を渡って徒歩6~7分といったところだが、季節によっては道中に注意が必要だ。

五箇山荘は高台にあるから坂を上っていくことになる。早春の道路に雪はなかったけれども、雪解けなのか湧水なのか、路面が水をかぶっている箇所がいくつかあって、ところどころで凍っていた。

凍った坂道やばい。すべりが半端じゃない。しかも単に濡れているだけのように見えて実は凍っている罠。自分は罠にかかって転んだ。乾いたところを選んで慎重に歩くべし。

特に流刑小屋へ分岐する坂が氷のすべり台状態で危険度MAX。遠回りに見えても本線の車道に沿ってぐるっと道なりに行くことを勧める。


和モダンで洒落た宿

五箇山荘にチェックイン。国民宿舎イコール「廉価だけど殺風景で古びた合宿所の延長みたいなところ」という勝手に抱いていたイメージとは真逆の、小ぎれいで洒落た館内には、良い意味で裏切られた。

泊まった3階の部屋も今風の和モダンテイスト。ベッド2つを置いた洋室に小上がりの和室がついている。ウォシュレット付きトイレ洗面完備で居住性ばっちりだ。(※今回はグループ旅行。一人泊だと洋室ツイン部屋をあてられる模様)
五箇山荘の和洋室
対照的に、窓の外から見える景色は昔の面影を残す雪深い山奥の隠れ里であって、そのギャップがなかなかおもしろい。
五箇山荘 部屋の窓からの眺め

五箇山荘で楽しむ雪見風呂

ゆったり余裕のある大浴場

1階の大浴場へ行く。浴室は宿の規模に対して十分な大きさと思われる。内湯は洗い場8つとそれに見合う広さの浴槽。夕方と朝に入った際、自分たち一行のほかには1~2人だけしか見かけず、ほぼ独占に近い形だった。

脱衣所の分析書にはアルカリ単純泉と書いてあった。加水・加温・循環・塩素と併記されていたように記憶しているが、五箇山荘のホームページによれば加水はしていないそう。お湯は無色透明で適温。ヌルヌル感はない。内湯は少し塩素臭あり。

露天風呂で雪見を満喫

おすすめは露天の岩風呂だ。高台にあるから周囲に視界を遮る建物の類がない。遠くに雪をまとった山の斜面が見えるだけ。目隠しの柵があるため、風呂につかったままだと下界の眺望は得られないが、そのおかげで山しか見えず十分に秘湯感を味わうことができる。

露天敷地内のあちこちにはまだ雪の積もった箇所があった。しかも外気に触れてぬるめになったお湯は長く入っていられる。ゆったりと雪見風呂を満喫できる舞台装置は完璧だ。

露天風呂に入っていると、遠くでウーとサイレンが鳴って、しばらくしてアナウンスの声が流れてくるのが聞こえた。「上流で放水を開始しました。まもなく川の水量が増えます。川の中に入っている方は早く出てください」…この寒さでそんなやつはいないよ。


素朴だがヘルシーな富山の味覚

五箇山荘の食事は朝夕とも食事処で。夕食は少し刺身が出るけど基本は山の料理。あとはイワナの塩焼きとかおなじみ固形燃料の鍋物。鍋は牛肉の朴葉焼き風だったかな。

豪華絢爛とはいえないがヘルシーで土地の雰囲気にあったものが出てくるのはうれしい。〆のご飯、富山のコシヒカリがつやつやで美味しかった。写真を撮り忘れて食べ始めてしまい、ぐだぐだの写真になってしまった…。
五箇山荘の夕食
なお夕食時間は18時と18時半が選べる。このあと述べる合掌造りライトアップ見学に参加する場合は18時にしよう。

朝食は普通な感じ。あまり記憶に残っていない。焼き魚と温泉卵と味噌漬けなど。セルフでコーヒー・紅茶がつく。


雪の季節におすすめしたい宿

便利なライトアップ見学送迎サービス

五箇山地区では雪の一部時期の夜間に合掌造りライトアップを実施している(主に3月の金土、正確には主催者情報を確認のこと)。

それにあわせて五箇山荘ではライトアップ見学の送迎バスを出している。参加する場合はチェックインの際に申し出ておく必要がある。当日は19時10分出発だった。夕食は18時からにしないと余裕がなくて厳しいだろう。

送迎のマイクロバスは補助席に座る人が出たくらい、多くの客が参加していた。見学先は宿から10分ほどの菅沼集落。駐車場に止めたバスを集合場所として40分くらいの見学時間が与えられた。ひと通り見て回るには十分だ。

この送迎サービスはありがたい。ひと風呂浴びて食事してからマイカーで行くのは疲れるし駐車場探しでハマるかもしれない。ライトアップの時間帯に路線バスの臨時便も出ているが融通が利かない。かといって気軽にタクシーが捕まるようなところではない。多くの客が喜ぶ良い試みだと思う。

秘境感と快適性・利便性のバランス良し

「秘境の山里に行ってみたいが、泊まるところは洗練された快適な宿であって欲しい」という欲張りな希望を叶えてくれるのが五箇山荘だ。部屋・温泉・食事・サービスいずれも水準以上でおすすめできる。自分が行った時期だからという贔屓目を承知で付け加えるなら、やっぱり雪の季節をおすすめしたい。


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