各駅停車で下部温泉ぶらり旅(往路編)

今回は少し古い過去の記憶をもとに下部温泉について書く。温泉旅を趣味にしようとはっきり意識した2016年秋より前のことだから番外編。なので温泉訪問リストには含めない。ノーカウントだ。

カッコよくいえば映画によくあるエピソード・ゼロってやつだ。予告編風に煽るなら「何もしない旅はここから始まった!」。この記事は下部温泉に着くまでのお話である。

ロマンの身延線ループ

2015年暮れ。このときも仕事面で行き詰まって息詰まっていた。「あー、なんか温泉とかでゆっくり休みたい」…今から思えば発想にまったく進歩がないな。

12月半ばに思い立ったから、気軽に行ける範囲で空室のある温泉宿はそうそうない。数少ない候補から選んだのが、下部温泉・湯元ホテル。当時は泉質とか源泉掛け流しがどうとか一切気にしてなかった。各駅停車で気軽に安く行けそう、そんな程度の動機。

それに自分は決して鉄ちゃんではないが、JR身延線には一度乗っておかなければと思っていた。新宿から中央本線で甲府→身延線で下部温泉経由富士→東海道本線で東京に戻るループにちょっとロマンを感じていたり。


甲府のやまなしプラザでランチ

決行の日は来た。いざ出発。新宿からまずオレンジの通勤電車で高尾へ向かい、中距離列車に乗り換えて甲府まで行って下車した。

ちょうど昼どきだったので、B級グルメの王者・鳥もつ煮でも探してみるか、と南方向へ大通りを歩き出した。さくっと店を決めるつもりだったのだが、しかし良さげな店は混んでいるし、一人ではちょっと入りにくい店を敬遠したりと迷っているうちに、10分ほど歩く羽目になった。

ええい、もうキリがない。目の前に現れた「山梨県防災新館・やまなしプラザ」なるビルの中にある山梨県産食材系のオープンカフェに飛び込んだ。こういう店は得意じゃないがコーヒーとパスタのランチでおしゃれにキメてやるぜ。都会っ子をなめたらいかんぜよ。

しかし意気込みとは裏腹にだんだん不安になってきた。乗り継ぐべき列車の時刻が迫ってきたのである。本来なら優雅な雰囲気の店内で、ゆっくり楽しむはずのランチを慌ててかきこむおっさんの図を演出する結果となってしまい、誠に遺憾であります。


のんびり各駅停車の旅

そして駅まで走って戻る。マリオとルイージにも勝るBボタンダッシュだった。おかげでどうにか間に合って身延線に乗り継ぐことができた。ローカル線の車内は予想に反して混んでおり、座ることはできなかった。

こういう各駅停車の気ままな旅は若い頃によくやっていたが、もう10年以上もご無沙汰だったから、懐かしくも新鮮な気持ちになった。あの頃と違うのは、当時はずっと車窓を見ているだけで過ごすことができたけれど、今はそれでは間がもたず、車窓1/3・読書1/3、居眠り1/3くらいの配分になった。

いつの頃からか仕事一色の生活になってしまい、自宅と職場の往復を延々続けるみたいになっていた東京砂漠の民には、車窓を流れる里の風景を見ているだけでもいい気分転換になる。

緊張させ続けた糸はいつか切れる。ときには緩めてやることも必要だなと思ったり。


金山博物館はお休み

そんなこんなで1時間半ほどで下部温泉駅に着いた。雪はないけど寒さは厳しい。川を渡ったところに甲斐黄金村という金山の博物館があったので行ってみた。…休みだった。年末年始ってかき入れ時じゃないの? 閉めちゃっていいの?

まあ確かに、あたりにはまるっきり人の姿がない。みごとな閑古鳥だ。休館だからそうなのか、そうだから休館にしたのか、因果関係はわからない。

下部温泉だってこの日の空室はほとんどなかったんだから、人はそれなりにたくさん訪れてきているはずだ。なのに何だ、この閑散とした感じは。旅をご無沙汰していた10年ほどの間に地方の観光地はますます厳しいことになっているようだ。

とにかくもうここにいても仕方がない。主目的は温泉だし、早々にホテルへ向かった。

…続きは次の記事で。

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