自然が近い露天風呂、そして楽しげな炉端焼き - 七里川温泉

七里川温泉
房総丘陵に湧き出る七里川温泉は千葉の良泉として紹介されるのを目にする機会もあり、温泉ファンの間ではよく知られた存在なんだろうと思われる。このへんでは珍しい硫黄泉だとか。へ~、興味が湧いてきましたね~。というわけで前々から行ってみたいと思っていたので、今回の房総遠征で立ち寄ってみることにした。

内湯と露天風呂を備え、ぬるめのお湯だから、ゆっくりのんびりと湯浴みを楽しめる。適度な素朴感や自然環境があって都会の人ほど旅情を味わうことができそうだ。

もうひとつの名物は囲炉裏での炉端焼き。今回は入浴のみの体験だったため食のレポートはできないが、温泉の後の炉端焼き、なんだか楽しげですな。

七里川温泉へのアクセス

車がないと厳しいかも

七里川温泉に手近な最寄り駅はない。JR久留里線の上総亀山駅、小湊鐵道の養老渓谷駅と上総中野駅、いずれからも8km前後離れている。歩くにはいささか無理があるね。房総だとキョンに遭遇してしまうかもしれないし。七里川温泉のホームページには久留里線・久留里駅からデマンドタクシーで20分と書いてあるが、なんとなく敷居が高そう。

やっぱり車があるに越したことはない。今回はそのへんまで見通した上で(天気予報が良くないこともあり)レンタカーを借りていた。朝、亀山湖畔の宿「つばきもと」をチェックアウトし、気まぐれで上総亀山駅へ寄り道してから七里川温泉へ。単純に直行すれば15分で行けてしまう距離だ。

動物とのエンカウント率が高いような気が

途中で猿の集団が道路を渡るところに出くわした。すげえたくさんいるぞ…草刈りをするおじさん達など多数の人間がすぐ近くにいても、平然と道路を横断して橋の欄干を我が物顔で伝っていく。キョンのかわりに猿の群れを見ることになってしまった。

他にも野鳥が突っ込んできたり、地鶏(?)の親子がのん気に道路を占領していたりと、距離のわりには神経を使う運転であった。一応首都圏なのに自然がいっぱいすぎる。

七里川温泉付近の道路は広くはないけど非熟練者でも普通に問題なく運転できる。ただし当湯から奥は素人さんが進んではいけません。清澄寺を経由して安房天津へ出る道ね。自分は1回体験したことがあるからわかる(運転は別の熟練ドライバーにやってもらった)。本当に車1台分の幅しかなくて崖下が川みたいな区間があって泣きを見るのは必定。渓谷、もとい警告はしたからな。

現地の駐車場はもうわりかし埋まってた。午前中から結構な人気ですな。


各所に見られる個性を楽しみたい温泉施設

いろりの存在感がいきなりすごい

入館するなり煙臭い。さすがいろりの宿だ。ロビー相当の場所がもう囲炉裏だし。写真を撮ったらなぜかピンボケしていた。
いろりのあるロビー
こういった囲炉裏が隣にもう1組あって、帰り際に通った際にはあるグループが囲炉裏を囲んで飲み会を始めていた。湯あがりにビールと炉端焼きを手に談笑か。うらやましい。

受付は無人だった。別のことで忙しい時間帯だったみたいね。何とか気づいてもらえて料金を支払う。1150円。奥へ進んでいくと右手に階段がある、階段手前にロッカーがあるから貴重品はそこに入れてくれ、階段を上がれば浴場、とのこと。了解。

ロッカーは無料で利用できる。言われた通りに右手の階段を上がると女湯・男湯の入口が見えてきた。近くに貼ってあった分析書によれば、典型的な泉質名は書いてなくて、硫黄とメタケイ酸の成分をもって云々とのことだった。温泉法上の温泉ってやつか。加温あり、加水・循環・消毒なし。

人気の程をうかがわせる内湯の様子

駐車場があれだけ埋まってたから大盛況の芋洗いだったらどうしよう、とドキドキしながら脱衣所へ。内湯と露天風呂はつながっていなくて脱衣所から別々の出入口で通じている。漏れ聞こえてくる会話の声や人の気配からするとそこそこ混んでそうだなあ。

覚悟を決めて内湯の扉をガラッと開けたところ、湯船には微妙な間隔を保ちながら数名の先客が浸かっていた。これじゃ割り込みづらい…。4名分ある洗い場で洗身洗髪しつつ様子をうかがう。カランのお湯がかすかに茶色く見えたから、もしかするとただの白湯じゃなく温泉が出てきてるのかもしれない。エビデンスはありません。

やがて湯船が空いてきたから満を持してゴー。大きさは4名規模といったところ。お湯の見た目はクリアな淡黄色で黒湯というほどの濃さではない。体感温度は熱くない適温。すぐにのぼせて出たくなるような熱さでなかったのは個人的に好ましい。

泡付きなし、ごく小さな白い粒がちょっと見える意味では湯の花あり、特別強い匂いは感じなかった。硫黄を連想させる甘い感じの香りやあからさまなタマゴ臭に関して期待のハードルを上げると肩透かしを食うだろう。

ぬるくて心地よい露天風呂

さて、お次は露天風呂へ行ってみますかね。脱衣所から石段をちょっと上がっていくと2つの露天風呂が現れた。それぞれ先客が1名ずつ。混んでなくて良かった~。

手前側の浴槽は細長い四角形をした4名規模のタイル風呂。なぜかお湯がきれいな緑色に見える。戸倉上山田温泉を薄めにしたような緑色。へー、ここだけ変わってんだなー、と思ったらタイルの色でした。お湯の色じゃなかったわ。浸かってみると内湯よりもさらにぬるくて、季節に合った爽快感で気持ちがいい。気に入ったぜ。

湯口からのお湯は下向きでなく横向きに勢いよく放出されている。結構はねて顔にかかってくるので少し距離を取った方がいいかも。あと浴槽付近の床がすごくツルツル滑りやすいから注意。

自然を身近に感じられる環境

奥側の浴槽はもっと正方形に近い四角形で3名規模で縁が木でできている。お湯の見た目は淡黄色。温度は手前側と同じくらい。こっちも気に入ったぜ。

湯口からのお湯はやはり横向きに勢いをつけて飛び出している。時おりジュゴボォォッーという音を立てながらお湯が切れそうになるのを見ると、頑張れと応援したくなるな。まあそんな感じで露天の開放感とぬるめの温度のおかげで比較的長めに粘らせてもらった。

奥側の浴槽のさらに奥に休憩ベンチがある。また露天エリアは整備された庭というよりは裏山に作ったような風情。一方は山の斜面が迫っているし、反対側は視界が大きく開けている。秘湯とは言わぬが自然の中の露天風呂感は強めだと思う。結構なり。

 * * *

天然温泉は日によってコンディションが変わるから断言はできないが、硫黄泉に入るつもりで行くよりも、さまざまな特徴や要素を含めたトータルで楽しむつもりで行きたいところ。風呂を出て退出しようとロビーを通ったら、最初に書いたように囲炉裏で飲み会を始めているグループがいてすごく楽しそうだった。

宿泊もやっているようだから、泊まれば夕食は炉端焼きなんじゃないの。誰か試してみてほしい。


おまけ:風呂あがりの聖地巡礼

鎌倉殿の影響で源頼朝上陸地へ

この旅は大河ドラマの影響で上総広常をキーワードのひとつにしていたので、それに関連して「源頼朝上陸地」ってとこに行ってみようかな。挙兵直後の戦いに敗れて舟で逃れた佐殿が上陸した場所だって。

七里川温泉を出た後は一路、内房の鋸南町へ。途中で濃溝温泉や濃溝の滝を通るルートを選んで寄り道しようと画策するも、現地の様子がよくわからないままに通過してしまったようだ。濃溝はまた今度だな。…はい、着きました、こちらが源頼朝上陸地の碑になります。
源頼朝上陸地の碑
はい、やりたいことは完了。まだ時間があるからどうしよう。鋸山にでも登るか…いや、ここまでドラマネタで引っ張ったなら最後もドラマネタで締めてやるぜ。思いつきで急きょ木更津へ向かった。鋸南町から下道で1時間ほど。

旅の最後は木更津締め

はい、こちらが木更津の「中の島大橋」になります。グルメドラマ「絶メシロード・シーズン1」第2話の車中泊地。主人公が車中泊のベテラン(役者さんは鎌倉殿に出てくる三浦義村の中の人、もしくはメフィラス星人)と出会った地でもある。ドラマ内では橋が立入禁止となっていたが、訪問時は渡れるようになっていた。強風がめっちゃすごい。
中の島大橋
最後、高速に乗る前にあと1箇所だけ。絶メシロード第2話で紹介されてた「大衆食堂とみ」へ行ってみた。
大衆食堂とみ
ドラマ内で食べてたポークソテーは自分には量が多そうだったので鯖煮定食を注文。小骨との遭遇率が極小で食べやすく、味付けも薄すぎず濃すぎずでちょうどいい。どこかけだるく渋枯れた店の雰囲気はまさに絶メシって感じだ。