紅葉シーズンの南会津への一人旅。最後に辿り着いたのは会津若松。見どころはたくさんあれど、空はあいにくの雨。歩き回る気にはなれない。ということで駅至近の日帰り温泉施設「富士の湯」へ行ってみた。
…すいません。正直なめてました。ここスゴイじゃないっすか。広い・豊富な種類の浴槽・大半の浴槽が加水なしの源泉100%・お湯の感触良し。思わぬ掘り出し物を見つけてしまった気分である。
しかし自分は決して鉄ちゃんではないが、ここまで来て会津鉄道を全線踏破しないというのは、どうにも収まりが悪い。残りのピースを埋めるがごとく湯野上温泉駅で会津若松行きの列車に乗り込んだのである。
途中の芦ノ牧温泉駅までは長いトンネルの合間に線路との交差を繰り返す峡谷が大迫力。それを見られただけでも乗った甲斐があった。その後はのどかな田園風景が続く。
さて、本題の富士の湯は会津若松駅から徒歩1分という近さ。駅の隣にピボットというスーパーがあり、その隣だ。黄色い目立つ建物、大きな看板、壁に描かれた派手な富士の絵。ちょっぴりこけおどし感を覚えつつ(なめてました、すいません)入場した。
フロント横の廊下の先に男湯女湯の入口がある。さっそく中へ。脱衣所では腕輪の番号のロッカーを使用する。イラスト風の分析書には「ナトリウム・カルシウム - 塩化物硫酸塩泉」とあった。
浴室内はまずたくさんのカランが並ぶ洗い場。その先が第1エリア。ここには緑色をした薬湯、メイン内湯、座湯、水風呂、ジェットバス、サウナが並ぶ。第1エリアだけでも小ぶりの日帰り温泉として十分やっていける規模だ。
来客は多いものの、広いし風呂が多いから適度に分散されて、湯船の人口密度はそれほどでもない。
熱すぎずいい感じの適温だ。無色透明だけど微妙に濁っているようにも見えるし、かすかにとろみがあるようにも感じられる。お湯をすくって鼻を近づけると、塩化物泉らしい匂いに混じってわずかに硫黄ぽい主張を感じなくもない。
ここの内湯はなぜだか「かすかに~ようにも感じる」要素が多く、控えめな性格とは裏腹に只者ではない印象。熱すぎないけどよく温まるのも気に入った。
つぼ湯にちょっとだけ入った後、あちこちの看板でやたら推してくる高濃度炭酸泉を試した。10分が目安と書いてあり長湯を戒めてるくらいだから相当効くんだろう。時期に応じて入浴剤を加えているらしく、この日は「紅葉狩り」と題して赤いお湯になっていた。
さぞかし泡付きがすごいんだろうと思ったら案外そうでもない。泡はやけに控えめだ。今日は機材が全力で稼働していないのだろうか…よくわからない。これでは単に赤い色をつけた寝湯だ。まあいい、人工炭酸泉にそこまで執着してないからね。次行こう、次。
7~8名規模の岩風呂は第3エリア(というか第2エリア以降の全体)を覆う屋根があるため露天とはいえないが、浴槽の見た目は完全に露天風呂である。意外と人は少ないし、ゆっくり露天ぽい気分を味わえる。お湯は源泉100%ながらメイン内湯に比べるとスッキリマイルドで硫黄ぽい主張なし。
つぼ湯は普通のがたしか3つと、ぬる湯と書かれたのが2つ。源泉100%かけ流し。冷温交互浴を気取ってぬるい方へ入ってみたら、これがまた気持ちいい。やっぱりぬる湯はいいね。いつまでも出られなくなってしまいそうだった。こいつはかなり気に入った。
第4エリアは竜宮御殿をイメージした装飾。室内の中央に10個くらいの普通のつぼ湯と、それを取り囲むようにして、金色に塗られて寝湯風にアレンジされたつぼ湯(黄金風呂)が約10個、乳白色のお湯が投入されるつぼ湯(真珠風呂)が3個あった。
ここでは黄金風呂に入ってみた。お湯は普通のつぼ湯と同じ。ただ10個あるうちの2個には泡が出る仕掛けがあったと思う。
真珠風呂はどうせ細かい泡を大量に発生させた、いわゆるシルク風呂なんでしょとスルーしたら、後の調べによると真珠の粉末を溶かしたものらしかった。えーまじっすか。太っ腹。入ってみればよかった。
中でも、他とは違う浴感のメイン内湯と、気持ち良くて出られなくなる、ぬるいつぼ湯が好みだった。これが駅徒歩1分にあって400円で入れるというんだから会津若松おそるべし。
これまた駅至近の駅前フジグランドホテルに泊まると富士の湯の無料券をサービスしてくれるようだ。同じところが経営してるのかな。
市内循環バス「あかべぇ」に乗って飯盛山下まで行く。いきなり心を折られそうな長い階段が目の前に現れた。隣には有料のエスカレーター。さてどうする。
よく見ると横にゆるい坂道があったのでそっちを利用した。上りきったところに国重要文化財「さざえ堂」がお出迎え。
拝観料400円でさざえ堂の中に入ることができる。らせん状の通路を上りつつ会津藩主が編纂したという教科書的な絵札が掲げられているのを見学した。一番上まで来ると今度はらせん下り。往路と復路は違う通路になっている。DNAの二重らせんを思わせる構造だった。
隊士の像が見やる方向に鶴ヶ城がある。奥の方のこんもりした森になっているあたりだ。よぉぉぉぉーく目を凝らすと天守閣が見える。わかるかな〜? わかんねぇだろうなぁ〜(ねたが古すぎ)。
白虎隊の苦難を思えば雨や階段などものの数ではない。足元に注意しつつ長い階段を下って逆回りの循環バス「ハイカラさん」で会津若松駅へ戻ったのだった。
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…すいません。正直なめてました。ここスゴイじゃないっすか。広い・豊富な種類の浴槽・大半の浴槽が加水なしの源泉100%・お湯の感触良し。思わぬ掘り出し物を見つけてしまった気分である。
会津若松「富士の湯」へのアクセス
会津鉄道に乗って
今回は大内宿や塔のへつりを見学しつつ湯野上温泉に泊まる旅。帰りはそのまま東京方面へ引き返し、もし余裕があれば鬼怒川あたりに立ち寄るというのが常道であろう。しかし自分は決して鉄ちゃんではないが、ここまで来て会津鉄道を全線踏破しないというのは、どうにも収まりが悪い。残りのピースを埋めるがごとく湯野上温泉駅で会津若松行きの列車に乗り込んだのである。
途中の芦ノ牧温泉駅までは長いトンネルの合間に線路との交差を繰り返す峡谷が大迫力。それを見られただけでも乗った甲斐があった。その後はのどかな田園風景が続く。
駅徒歩1分、スーパーの隣
終点の会津若松駅に着くと見慣れぬ車両がホームに停車していた。JR東日本の豪華観光列車「トランスイート四季島」だった。思わず撮り鉄になってパチリ。さて、本題の富士の湯は会津若松駅から徒歩1分という近さ。駅の隣にピボットというスーパーがあり、その隣だ。黄色い目立つ建物、大きな看板、壁に描かれた派手な富士の絵。ちょっぴりこけおどし感を覚えつつ(なめてました、すいません)入場した。
4つのエリアからなる広大な空間
第1エリア自体がひとつの温泉施設
下足箱に靴を入れ、鍵をフロントに預けて腕輪を受け取るシステム。利用料は400円。まあ安い! ただしタオル・バスタオルは別料金。フロント横の廊下の先に男湯女湯の入口がある。さっそく中へ。脱衣所では腕輪の番号のロッカーを使用する。イラスト風の分析書には「ナトリウム・カルシウム - 塩化物硫酸塩泉」とあった。
浴室内はまずたくさんのカランが並ぶ洗い場。その先が第1エリア。ここには緑色をした薬湯、メイン内湯、座湯、水風呂、ジェットバス、サウナが並ぶ。第1エリアだけでも小ぶりの日帰り温泉として十分やっていける規模だ。
来客は多いものの、広いし風呂が多いから適度に分散されて、湯船の人口密度はそれほどでもない。
控えめに主張してくるメイン内湯
第1エリアに足を踏み入れたとたんモワっと、何だかよくわからないが、いかにもな「温泉の匂い」がしてきて嬉しくなった。とにかく温泉が目当てだったので源泉100%と明示されている5~6名規模のメイン内湯に絞って入った。熱すぎずいい感じの適温だ。無色透明だけど微妙に濁っているようにも見えるし、かすかにとろみがあるようにも感じられる。お湯をすくって鼻を近づけると、塩化物泉らしい匂いに混じってわずかに硫黄ぽい主張を感じなくもない。
ここの内湯はなぜだか「かすかに~ようにも感じる」要素が多く、控えめな性格とは裏腹に只者ではない印象。熱すぎないけどよく温まるのも気に入った。
第2エリアの推しは高濃度炭酸泉、でもお休み?
メイン内湯だけでも十分なくらいだが奥も探検せねばならない。続いて第2エリアへ進んだ。こちらには3つの信楽焼つぼ湯と5名分ほどの炭酸泉寝湯がある。つぼ湯にちょっとだけ入った後、あちこちの看板でやたら推してくる高濃度炭酸泉を試した。10分が目安と書いてあり長湯を戒めてるくらいだから相当効くんだろう。時期に応じて入浴剤を加えているらしく、この日は「紅葉狩り」と題して赤いお湯になっていた。
さぞかし泡付きがすごいんだろうと思ったら案外そうでもない。泡はやけに控えめだ。今日は機材が全力で稼働していないのだろうか…よくわからない。これでは単に赤い色をつけた寝湯だ。まあいい、人工炭酸泉にそこまで執着してないからね。次行こう、次。
森をイメージした第3エリア
第3エリアは岩風呂とつぼ湯とジェットバスと有料のあかすり処。隅の方に木が植わっているのは森の中をイメージしたコンセプトなのかな。7~8名規模の岩風呂は第3エリア(というか第2エリア以降の全体)を覆う屋根があるため露天とはいえないが、浴槽の見た目は完全に露天風呂である。意外と人は少ないし、ゆっくり露天ぽい気分を味わえる。お湯は源泉100%ながらメイン内湯に比べるとスッキリマイルドで硫黄ぽい主張なし。
つぼ湯は普通のがたしか3つと、ぬる湯と書かれたのが2つ。源泉100%かけ流し。冷温交互浴を気取ってぬるい方へ入ってみたら、これがまた気持ちいい。やっぱりぬる湯はいいね。いつまでも出られなくなってしまいそうだった。こいつはかなり気に入った。
第4エリアの竜宮ぶろに並ぶ大量のつぼ湯
これで終わりじゃない。階段を上って行った先に竜宮風呂と称する第4エリアがあった。広い、広すぎるぞ。第4エリアは竜宮御殿をイメージした装飾。室内の中央に10個くらいの普通のつぼ湯と、それを取り囲むようにして、金色に塗られて寝湯風にアレンジされたつぼ湯(黄金風呂)が約10個、乳白色のお湯が投入されるつぼ湯(真珠風呂)が3個あった。
ここでは黄金風呂に入ってみた。お湯は普通のつぼ湯と同じ。ただ10個あるうちの2個には泡が出る仕掛けがあったと思う。
真珠風呂はどうせ細かい泡を大量に発生させた、いわゆるシルク風呂なんでしょとスルーしたら、後の調べによると真珠の粉末を溶かしたものらしかった。えーまじっすか。太っ腹。入ってみればよかった。
会津若松おそるべし
スケジュールの都合により1時間くらいで出たけど、とても全部は試しきれない。多数の客が来ても芋洗いにならない規模と、これでもかという数の源泉つぼ湯があるから、温泉目当てに行って居場所がなくて困ることはないと思う。中でも、他とは違う浴感のメイン内湯と、気持ち良くて出られなくなる、ぬるいつぼ湯が好みだった。これが駅徒歩1分にあって400円で入れるというんだから会津若松おそるべし。
これまた駅至近の駅前フジグランドホテルに泊まると富士の湯の無料券をサービスしてくれるようだ。同じところが経営してるのかな。
おまけ:飯盛山を観光してみた
さざえ堂の二重らせん
実は会津若松駅に到着したら雨があがっていたので、色気を出してちょっとだけ観光してみた。雨の件は一瞬のフェイクですぐ本降りに戻ってしまったわけだが。市内循環バス「あかべぇ」に乗って飯盛山下まで行く。いきなり心を折られそうな長い階段が目の前に現れた。隣には有料のエスカレーター。さてどうする。
よく見ると横にゆるい坂道があったのでそっちを利用した。上りきったところに国重要文化財「さざえ堂」がお出迎え。
拝観料400円でさざえ堂の中に入ることができる。らせん状の通路を上りつつ会津藩主が編纂したという教科書的な絵札が掲げられているのを見学した。一番上まで来ると今度はらせん下り。往路と復路は違う通路になっている。DNAの二重らせんを思わせる構造だった。
白虎隊悲劇の地
その先には白虎隊士のお墓があり、一番奥が白虎隊自刃の地となっている。ここから城下が炎上する様子を見て…というわけだ。隊士の像が見やる方向に鶴ヶ城がある。奥の方のこんもりした森になっているあたりだ。よぉぉぉぉーく目を凝らすと天守閣が見える。わかるかな〜? わかんねぇだろうなぁ〜(ねたが古すぎ)。
白虎隊の苦難を思えば雨や階段などものの数ではない。足元に注意しつつ長い階段を下って逆回りの循環バス「ハイカラさん」で会津若松駅へ戻ったのだった。
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