私は如何にして心配するのを止めて自粛を楽しむようになったか

マスクをする人々
ステイホームの掛け声とともに外出を自粛すること1ヶ月半。首都圏の緊急事態宣言が途中延長を経てようやく解除された。しかし春の行楽シーズンは何もできないまま終わった。

しかも解除されたとたん再び感染者が増えだして第二波だのと言われるし、下手すると元の木阿弥、またしてもステイホーム圧力をかけられそうな流れで嫌な予感がする。さては軟禁騙す誰。

ずっと温泉に行かなかったので新しい旅ネタ・入湯ネタの仕込みができなくなって久しい。このブログもあと少しだけ過去の蓄積でつなぐことはできるが、まもなく在庫が底をつく。マスクっていうレベルじゃねーぞ。

なので今回は小休止的に雑談ぽい内容でお送りします。

緊急事態宣言中の生活

想定外にも程がある

新型コロナにはすっかりやられた。まさかここまで追い込まれるなんてね。新型インフルエンザのときは、各社で海外出張取りやめとかのニュースを見聞きしたけど身近な影響はなかったから、今回もその程度で収まってくれると勝手にふんでいたが…。

とんでもねー。トンデラハウスの大冒険だ。あれよあれよという間にもろもろ自粛せざるを得なくなり、緊急事態宣言まで飛び出した。後世の教科書に間違いなく載るであろうクラスの歴史的事件にがっつり巻き込まれるとは。人生ゲームにこんなマスなかったぞ。

幸い現時点で奴には感染してないし、職を失ったり収入が激減するといった目にあうこともなかったし、なおかつ10万円もらえるみたいなので、自分はまだしも恵まれている方かもしれない。

和製ホーム・アローン

さて、仕事の方は在宅でのテレワークに切り替わり、おはようからおやすみまで家に居続ける生活となった。すぐ慣れるだろうし自分には適性があると予想した通り、なんら問題なし。

近くに人の気配がなくても、他人との会話がなくても、全然さみしくない(業務上のメール・チャットのやり取りはもちろんあります)。外出しなくても息が詰まらない。さすがぼっちだ、なんともないぜ。

むしろ健康的

ただし心が求めるというよりは頭で考えた結果として、運動不足で足腰が弱るのは困るし、日光を浴びないでいるとクル病になっちゃうし、生活リズムを整えた方が良さそうだし、ということで人の少ない早朝の時間帯に散歩したりはしている。

朝起きたら何をする余裕もなく支度して通勤電車に乗ってた頃に比べたら、かえって人間らしい生活ではないか。早寝早起きでせかせかしない生活。コロナのせいで健康になっちゃうよ。

そういえば食生活の面でも、今までは朝飯を抜いたりコーヒー1杯だけが多かったけど、なぜか気を使ってパンを食べるようになったし、野菜も摂取すべきだからサラダと、タンパク質も必要だから卵、ビタミン補給には果物、なんていう具合でリッチになった。我ながら健全化しているなあ。まあ代わりに昼飯を抜いてるわけだが。

「男はつらいよ」二度目のコンプリートに挑戦

ゴールデンウィークは何もやることがないから、かつて全作コンプリートした映画「男はつらいよ」シリーズ鑑賞の二巡目に挑戦してみた。あらためて観るとやっぱり面白いっすね。中でも世間の評価が高い「夕焼け小焼け」「相合い傘」は確かにオススメの秀作。

あと個人的にあげるとしたら「続・男はつらいよ」と「知床慕情」かな。前者の寅さんは母親や恩師と対比されるせいか、少年のような喜怒哀楽を見せる姿が際立っている。後者はことごとくキャラの立った登場人物たちが繰り広げるストーリー展開と知床の自然描写が絡み合って、大人のメルヘン感が半端ない。どちらも鑑賞後の余韻が強かった。

それにしても22年ぶりの最新作を除いて49本は多い。GW中になんとか第20作まで、本記事公開時点で第45作までクリアした。あと少し。県外移動が解禁されて温泉旅行を再開したら超忙しくなっちゃうから、その前に終えられそうでまあ良かった。


男はつらいよ 寅次郎ステイホーム

寅さん、やっぱりの帰省騒動

寅さんは年を取らないサザエさん設定ということにして、現代の世相を反映した新作を妄想してみよう。タイトルはずばり「男はつらいよ 寅次郎ステイホーム」。ほぼ全編がビデオ会議システム風の分割画面で進行する。

2020年、旅の途中で新型コロナ騒動による緊急事態宣言に巻き込まれた寅さん。ある町の安宿から動けなくなった。困った寅さんは、この地で知り合った舎弟的な若者に無理やりパソコンとネット環境を整備させたのであった。

宿の固定電話を借りて満男に連絡を取り、柴又くるまや(とらや)の面々とのビデオ会議を設定させ、オンライン帰省を果たした寅さんであったが、いつものごとく些細なことで喧嘩になって会議室を退出してしまう。「心の冷たい人間の顔見ながら話なんかできるかい! 二度と会議には招待しねえからな。止めるなよ、じゃあな」。

寅次郎恋やつれ

道端での商売ができないからネット通販を行うことにした寅さん。ただのECサイトじゃない。ビデオ会議室のアクセス先をSNSで拡散したうえで、得意の啖呵売を配信するという斬新な手法だ。もちろん準備はすべて舎弟にやらせた。「白く咲いたか百合の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水くさい。ね、どう?」。

通販会議室の参加者の中に気になる女性の姿があった。やがて別会議室で二人のやり取りが始まり、身の上話などを聞いているうちに恋の炎がメラメラと。「困ったことがあったら、葛飾柴又の『くるまや』ってだんご屋がやってるTwitterにDM送ってみな。俺の身内がきっと悪いようにはしねえから」。

マドンナたる当の女性は思い切ってDMを送ってみる。くるまやメンバー+タコ社長とマドンナが知恵を出し合って相談するためのビデオ会議を設定したところへ、寅さんもしれっと参入。満男が宿に電話して会議のことを教えてくれたのだ。まあ結局は与太話ばっかりのオンライン飲み会になっちゃったのだが…「それじゃあ今夜はこのへんでお開きということで」。

次の日からマドンナを支援するクラウドファンディングを仕掛けようとしたり、くるまやと朝日印刷が申請していた持続化給付金をマドンナのために貢がせようとしたり、あれこれ奔走というか周囲を引っかき回す寅さん。

恋に破れる寅次郎

だがマドンナは悩みを聞いてもらったことですっかり気持ちの整理がつき、新たな一歩を踏み出す決心を固めていた。婚活アプリを通じて以前から連絡を取り合っていた男性と結婚し、新天地で心機一転の生活を始めるのだ。こうして2回目のビデオ会議で決意を宣言するマドンナ。世話役気分で意気揚々と会議に参加した寅さんはただ呆気にとられるのであった。

折しも寅さんの滞在する地方で緊急事態宣言が解除され、自由に移動できるようになった。恋に破れた寅さんはさくらを会議室へ招待し、これを最後に手元のネット環境を手放すこと、そして旅を再開することを告げる。

画面の向こうでさくらが言う「ねえ、こっちに帰ってきたら?」。返す寅さん「東京はまだ緊急事態宣言中じゃねえか。堅気のみなさんが頑張って自粛してるのに、俺みたいな奴がフラフラ都内へ出入りするわけには、いかねえのよ」。

爽やかな余韻を残すエンディング

1ヶ月後。自粛を終えて営業を再開したくるまやへマドンナが訪ねて来ていた。各々広く間隔をあけて座り、お祝いの言葉をかける面々が囲む卓の上には1枚の絵はがき。差出人は寅さん。

“思い起こせば恥ずかしきことの数々、今はただ後悔と反省の日々を過ごしております。この間は知り合いの計らいでピーシャル検査とかいうやつを受けた。詳しいことはわからねえけども陰性だそうだから安心してくれ。末筆ながら旅の空からマドンナ様の幸せを祈っています。車寅次郎拝”

場面はどこかの地方の神社。お祭りの日で3密が懸念されるほどの人出だ。そこにマスクをして啖呵売をする寅さんとポンシュウの姿があった。売り物は付着したウィルスを殺菌消毒するという触れ込みの特製フェイスシールド。「角は一流デパート赤木屋・黒木屋・白木屋さんで、紅白粉つけたおねえちゃんに下さい頂戴でいただきますと、5000や6000はくだらない品物だ。でも今日はそれだけ下さいとは言わない!」

テーマ曲が流れるとともに場面がズームアウトして遠景に。さらにシーン全体のフレームごとズームアウトしていくと、それはビデオ会議システムの分割画面の一つだった。他の分割画面は、寅さんの滞在してた町・柴又帝釈天の参道・江戸川・マドンナの新天地。それらが並んで収まったメタ表現的なカットの上に“終”の文字が重なる。

おお、見てみたいぞ。